訓練内容

「しんがくどう」ではセラピストを中心に、各スタッフが利用児それぞれに合わせた訓練を行っております。

このページに記載されている訓練内容は、各々の評価を基にした、利用児の特性やレベルに合わせた訓練内容の一例であり、他児がここで紹介されているような特性があっても訓練内容が同じとは限りません。

※注 科学的な評価が取れず、紹介している内容の科学的根拠が理解できない方が真似をすると、お子様の誤学習や事故に繋がる虞がありますので、安易に取り扱わないようご注意下さい。

理学療法士

子供がひとりだけでは達成できないが友達や親や大人などが少し援助することで問題が解決できる領域を『最近接領域』といいます。療育を決定するには、今何ができないよりも、どのような知性や能力が潜んでいるのかということを見いだす課題や環境を設定する事が必要であります。
できるようになるには、自分自身で行為を選択し、行為の制御・調整ができることであり自己の身体を通して何らかの気づき、驚きが生じる経験をすることです。
認知神経リハビリは、子供がどのように動くかを①どのように認識するか②どのように注意を使うか③どのようにイメージするか④どのように言語や前言語を使うか⑤どのように学習するかを評価・療育を行う上で上記の事を大切に行っています。

療育内容の説明
【空間と視覚の認識】
(1)向いている方向の異なる三角形と半円形
課題1(視覚):絵と同じ物を選ぶ
課題2(聴覚):『△の先端の上方向に向いているのはどれ』の質問に子どもが指さす
課題3(言語):療育者が渡した図柄を子どもが答える
例:三角のてっぺんが上を向いている

(2)情感を用いた表情の特性を見て完成
課題1(視覚):①表情が同じになるものを選ぶ。②療育者の顔を見て同じ表情を選ぶ。
課題2(聴覚):①笑っている顔はどれかを選ぶ。②笑った顔をしてください(子どもが行う)。
課題3(言語):①表情カードを指さしこの表情は何?②療育者の表情を見て答える。

(3)カードとの照合
課題1(視覚):同じカードを選ぶ
課題2(聴覚):①『リンゴはどれ』の質問に子どもが指さす。
②果物や乗り物のカードを並べて『果物はどれ』の質問に子どもが指さす。
課題3(言語):①療育者が指さしたカードは何?1枚選択し何を渡したかを答える
②『リンゴは黄色いですか?』の質問に『違います』『赤いです』と答える。

(4)ステック課題
課題1(視覚):①同じように並べる(ペアを作る)②低いから高い順番に並べる
課題2(解読):ステックを2本選び『どちらが長い?』『短い?』と質問し子どもが指さす
課題3(言語):ステックを親指と人差し指で挟み子どもが『右が長い』『左が短い』と答える

(5)型はめブロック
課題1(視覚):同じ型に入れていく
課題2(解読):療育者が『○を入れてください』と伝え子どもが選び入れる
課題3(言語):『この型は何ですか』の質問に答える
(形を袋の中に入れて行う課題)
課題1(体性感覚-言語):この型を感じて答える
課題2(体性感覚-視覚):この型を感じてカードのどれだか指さす
課題3(言語-体性感覚):△を探してみましょうと伝え袋の中から探す

※子どもがこうした関係性を築けるのは注意過程を動的に活用しないといけない。自らの注意に方向性を与え、療育者(他者)と共有する能力は志向性を表す基礎を創ることです。

【身体部位・位置の認識・手や足への注意の分配(予測・運動イメージ)】
足型カード
課題1(視覚-視覚):①同じカードを選ぶ
②療育者の足がどのようになっているかを見て考える
③療育者のポーズと同じカードを選ぶ
※2枚から選択、数枚から選択と難易度を調整する
課題2(体性感覚-視覚):療育者が子供の足を動かし子どもが同じポーズのカードを選ぶ
2枚から選択、数枚から選択と難易度を調整する
課題3(視覚-体性感覚):カードを見て子供自身が同じポーズをとる
課題4(視覚-言語):①カードをみて説明をする。
②療育者の足がどのようになればその絵と同じですか?
例①足が開いている②右足が前で一歩でている

上肢と下肢の位置の認識
課題1(視覚-視覚):①上肢と下肢を様々な位置に置いているカードと同じカードを選ぶ
②療育者の上肢と下肢がどのようになっているかを見て考える
③療育者のポーズと同じカードを選ぶ
課題2(視覚-言語):①療育者が一つのポーを選ばせる。
②療育者が同じポーズになるように子どもが説明する
※難易度を変えるには説明する時に閉眼で行う
課題3(体性感覚-視覚):①子どもの上肢と下肢を動かし子どもが同じポーズのカードを選ぶ
※難易度を変えるには閉眼で行う

※認識の後に正しくても間違っていても療育者はもう一度閉眼で『こちらがあなたが先ほど選んだポーズで、これが同じだと選んだポーズです。本当に同じですか?』と聞く。どこから同じ、間違いとわかったかを聞く

【足の受容表面を細分化・位置の認識】
課題1(接触):①足の裏で触れた・離れたかを感じる
②足の裏のどこにドットがあるかを感じ認識する
※2枚・数枚のカードから同じカードを選ぶ

【言語】
課題1(視覚-視覚):口の形のカードの照合
(聴覚-視覚):療育者の声を聞いてカードを選ぶ
(視覚-言語):療育者の口の形・カードを見て子どもが声を出す

【スポンジ課題】
課題1(触覚):①スポンジに足の裏が触れた・離れたかを感じる
②スポンジの硬さ(硬い・柔らかいか)を左右や前後で感じ認識する。
※スポンジに身体がどのように変化をしたかを感じてもらい言語化する
※表情や筋肉の収縮で反応をみる
※足・手・身体(背中)にスポンジを当てていく

【表面素材課題】
課題1(触覚):①療育者が5枚の異なる表面素材を持つシートから1枚選ぶ
②子どもの手を布の中に入れて見えないようにする
③シートを感じてもらう
④感じた物と同じシートを探す
課題2(触覚―言語)①シートを言語化する
例:つるつる。ざらざら。でこぼこ。ふわふわ…。
※難易度を変えるには、1枚のシート、2枚のシート。
どの指で触れたかを聞いていく

療育をすすめる中で親からのコメント
①興味のあるものを再度作ろうとする。自ら手を伸ばして行う仕草がみられる。
②挨拶(おはよ!)やカウント(1・2・3・・10)を一緒にいえる
③言葉を少し覚えてきて会話が楽しめるようになった
④母が他者と話をしているのを見つめ突然泣き出したり疳積を起こして自傷行為
(床に額をガンガンぶつける・手背面を噛む・口唇を噛む)が見られていたが少なくなった。
⑤シュークリームを最後まで一人で潰さず食べれるようになった
⑥お友達と手をつないで歩いてきてくれた


※注 科学的な評価が取れず、紹介している内容の科学的根拠が理解できない方が真似をすると、お子様の誤学習や事故に繋がる虞がありますので、安易に取り扱わないようご注意下さい。