訓練内容

「しんがくどう」ではセラピストを中心に、各スタッフが利用児それぞれに合わせた訓練を行っております。

このページに記載されている訓練内容は、各々の評価を基にした、利用児の特性やレベルに合わせた訓練内容の一例であり、他児がここで紹介されているような特性があっても訓練内容が同じとは限りません。

※注 科学的な評価が取れず、紹介している内容の科学的根拠が理解できない方が真似をすると、お子様の誤学習や事故に繋がる虞がありますので、安易に取り扱わないようご注意下さい。


臨床心理士

臨床心理士のお仕事

  • 臨床心理学に基づく知識や技術を用いて、
    “こころ”の問題にアプローチしていく「こころの専門家」です。
  • 具体的には、心理面接や心理検査を通してその人の特性をくみ取り、
    心理療法を取り入れたアプローチを行っていきます。

しんがくどうでは…

お子さんと活動や日々のコミュニケーションを通して特性や考え方をくみ取り、その子が得意なことを伸ばしたり、苦手なことを補う方法を一緒に考えたりしながら、その子らしく自信をもって生活できる手助けをすることを目的として関わっています。

発達検査による評価

  • 発達検査を用いて、1対1の設定された場面でその子の発達段階、能力や反応を評価することもあります。
  • 左図のような積み木や絵カードを使って、遊び方や対応の仕方、言葉の理解力など総合的に発達を評価し、その子との関わり方に活かしていきます。

 

遊び・活動の中での関わり

  • 日々の自由遊び時間や活動の中で、その子の発達段階、能力や反応を評価し、することもあります。
  • 例えば、物の操作(遊び方)・ルールの理解力、考え方、人とのかかわり方などを見て、次につなげていきます。
  • 左図では、巨大シャボン玉を作る活動の中で、お友達とのやりとりの仕方や、体の動き、集中力、その子なりの工夫点などを見ています。

 

心理的アプローチ

  • 検査や日々の活動での評価を基に、その子に合わせた関わりをしていきます。
  • 例えば、言葉で自分の思いや気持ちを伝えることが苦手なお子さんには、遊戯療法や描画療法を用いて、その子なりの表現から伝えたいことをくみ取っていきます。
  • また、人との関わり方に難しさを感じているお子さんには、SST(ソーシャルスキルトレーニング)を用いて、より良いコミュニケーションのためにどうすればいいかを一緒に考えていきます。

など、様々な理論や技法を用いながら、その子に合った支援を行います。

 

実践例① 発達検査

  • 対象:A君 6歳3ヶ月
  • 診断名:自閉症スペクトラム 精神発達遅滞
  • 実施検査:田中ビネーV

<検査時の様子>

  • 1対1の場面では着席して課題に応じる
  • 検査道具を出すと「あ」と言いながら指差して席を立つ
  • 型はめでは、指示の前に全て型にはめる。全問正答
  • 絵を見て物の名前を答える課題では、スムーズにこたえる
  • 指さしで応える課題では、検査者の質問に対しては応じず、自分のタイミングで物を指差し、検査道具を返す
  • 模倣課題では、「まねして言って」という教示では、何も言わず検査者を見るが、「〇〇って言って」と伝えると応じる

<評価結果>
CA6:3 MA2:6 IQ40

<見立て・所見>

  • 知的発達は2歳半ほどの能力で中度の遅れ状態得意な能力
  • 視覚情報を見て理解する
  • 大人に対し、指さしや発声で注意を引く課題点
  • 曖昧な内容や指示を理解することが苦手
  • 相手を待つことが苦手で自分のペースで行動しやすい

<支援の方法>

  • あいまいな表現(あれ、それ等こそあど言葉や「同じようにして」といった抽象表現)を避け、具体的な言葉を用いてに伝える
  • 口頭で伝えるだけではなく、視覚的な情報を一緒に提示する
  • 遊びの中で相手に注目できるタイミングを作る(例:おもちゃを最初から渡すのではなく、視線を向けて要求したときに渡すなど)
    ⇒日々の活動に活かしていく

実践例② ABA(応用行動分析)

「ABCフレームによる分析」
内容:お子さんの困った行動について「行動の前の状況」「行動」「行動の結果」に分けて分析し、
困った行動を望ましい行動に変える支援に役立てる。

Aくんの場合
【困った行動】制作活動(やりたいこと)ができないと癇癪を起こしてしまう。

「行動の前の状況」「行動」「行動の結果」それぞれの段階でのアプローチ

※適切な行動の習得には2つを併せて行うのが効果的

※この他にも、さまざまな分析の視点を活用して、活動を工夫していきます。

 

実践例③ 描画療法

「交互色彩分割法」
使う物:A4の画用紙・黒のサインペン・クレヨン
内 容:子どもと心理士が交互に線を引く。そして、交互に1マスずつ色を塗る。
目的①:絵を媒介とすることで言語に限定されないコミュニケーションをとる。
目的②:子どもと心理士の関係性構築と視覚化。

Aちゃん(7歳/女)の場合
※自閉症スペクトラム児。心理士と1対1の関わりが初めての場面にて。

  • 様子
    線を引く際は、心理士の線を全く気にせず、自由に引いていた。色を塗る際は、子どもの選んだマスに隣接するマスを心理士が塗り始めると、「いいね~きれい」と笑顔が見られた。子どもの方も、色合いを意識したり、隣接するマスを選んで塗ったりし始めた。完成すると拍手をしていた。
  • 考察
    二者間の関係ができていない状態において絵を媒介にすることで、緊張が緩和される様子が見られた。心理士が本児の描画に寄り添うような色とマスの選択をしたことで、本児からポジティブな反応があった。言語に限定されない関わり方として、有用であったと言える。

※注 科学的な評価が取れず、紹介している内容の科学的根拠が理解できない方が真似をすると、お子様の誤学習や事故に繋がる虞がありますので、安易に取り扱わないようご注意下さい。