訓練内容

「しんがくどう」ではセラピストを中心に、各スタッフが利用児それぞれに合わせた訓練を行っております。

このページに記載されている訓練内容は、各々の評価を基にした、利用児の特性やレベルに合わせた訓練内容の一例であり、他児がここで紹介されているような特性があっても訓練内容が同じとは限りません。

※注 科学的な評価が取れず、紹介している内容の科学的根拠が理解できない方が真似をすると、お子様の誤学習や事故に繋がる虞がありますので、安易に取り扱わないようご注意下さい。

 

音楽療法


概要

  • A君
  • 広汎性発達障がい 知的障がい(重度)

A君の様子

  • 緊張が強く、気持ちのコントロールが苦手
  • 決まったお友達がいると参加できる
  • 1人で窓の外を見て過ごすことが多い
  • 音などの刺激に対して叫びで反応する
  • 聴覚に過敏性がある

目的

  • 自分から外界へ発信することが少ない、刺激に対して叫びでの反応
    →意思の表出の増加
  • 過敏性があり、緊張が強いため活動に入ることが難しい
    →安心して参加できる

方法

  • 小集団音楽療法 3~5名
  • 全12回(うち2回は個別療法)
  • 時間:30~40分

療育内容①

  • 始まりのうた:呼名に対する返答
    挨拶と呼名が入った歌にて、名前への意識、アイコンタクトを促し、やりとりの中で声量、タイミングなどその場にあった行動を学んでいく。
  • イメージ遊び:生活動作の表現
    日々の生活をテーマに音や動きで提示し、動作模倣や再現を行う(例、歯磨き、料理)。言葉と動作のマッチングを行い、生活習慣や場にあった行動へ結び付けていく。

療育内容②

  • 楽器活動:名前、楽器名を入れた即興演奏に合わせた演奏
    楽器ごとに簡単なメロディを決め、そのメロディに合わせて楽器を奏でていく。はじめは、○○くんの太鼓がドン♪など、名前を入れて注意を促し、なれると楽器名、音楽のみと情報を限定していく。注意の持続・分散、推測力、音楽に合わせる自己調整、非言語的コミュニケーションを促していく。
  • 片付けのうた:サザエさんの替え歌
    活動が終わる準備。馴染みのある音楽を片付けの歌として繰り返し用いることで習慣化し、音楽が流れることで片付けの意識付けを行う。

経過

1回~6回目 一人で楽しむ(職員の介入を嫌がる)
自分のペースで活動に入る
7回目 声でのやり取り
8回目 ベル、ピアノなど同じ楽器でのやり取り
楽器活動のみ参加(集団の中で曲に合わせて演奏)
9回目 それぞれが違う楽器を用いてのやり取り活動参加

結果

  • いやだという発信が出て、やり取りを楽しむようになる。
  • 活動中同じ空間で過ごすことが出来るようになる。
  • 音楽での職員とのやり取りができ、周りへの気づきが生まれる。
  • 自分で鳴らすことを楽しむと共に聴くことを楽しむ。
  • はじまりのうたで叫ぶことなく返事が出来る。

考察

  • 本児と物と職員、本児と物としての職員、本児と職員のように関係が変化していった。
  • 周りの音を受容することが難しく、集団での活動に入れなかったが、楽器を鳴らす、声を出すことを職員を鏡のように受け取ることで周りに気づき、音・音楽への興味、関心から受容に至ったと考えられる。
  • 本児の好きな高音から低音への流れを音楽の中に取り入れることで音への気づきが促されたと考える。
  • はじまりから終わりの見通しがたち、安心して参加できる。

今後の展望

  • 意思表出の拡大
  • 共感性を高める
  • お友達とのやり取りを楽しむ


※注 科学的な評価が取れず、紹介している内容の科学的根拠が理解できない方が真似をすると、お子様の誤学習や事故に繋がる虞がありますので、安易に取り扱わないようご注意下さい。